居抜き物件(店舗)の探した方マニュアル
居抜き物件とは以前のテナントが使用していた設備や機器、椅子、テーブルなどの家具のほか、内装、造り付けの棚やカウンターなどの造作が残っている物件のことです。
一方、床や壁、天井などの内装、家具、設備、機器などが一切ない建物の躯体だけの状態をスケルトン物件と呼びます。
居抜き物件のメリット・デメリット
メリット
居抜き物件の大きなメリットは、開店にあたっての内装設備や工事にかかる費用やオープンまでの期間が通常のスケルトン物件に比べて低価格に抑えられることです。
内装工事費はお店の種類や場所にもよりますが、スケルトン物件(通常物件)は内装費が平均50万円から100万円ほどかかり、居抜き物件に比べ初期経費が3倍から5倍もかかります。
東京など都市部では場所によってかなり相場が異なりますのでその点も注意が必要です。
また内装工事にかかる費用が安いだけではありません。
通常は開店までの工事期間中も賃料が発生しますので、オープン準備期間は短ければ短いほど開店資金が抑えられるということにつながるのです。
居抜き物件で多い、居酒屋やカフェをはじめとした飲食店、美容院やエステティックサロンなどの店舗は設備や機器なども必要です。
設備や機器を譲渡や買い取ることによりそのまま使用することでスムーズに開店することができ、スタッフの研修やオープン直後の集客対策に時間を割くことができます。
コストや時間的なリスクを抑え、短期間で収益を上げることが出来るのが居抜き物件です。
デメリット
メリットの多い居抜き物件にもデメリットがあります。
内装や設備、備品などをそのまま使う場合、デザインやレイアウトなど自分の作りたい店舗に仕上げるのは難しいでしょう。
そこにあえて手を加えようとしすぎると、一からつくるよりかえって高くつくということも。
またお客様から見れば居抜き物件での開店は、以前のお店の印象が残りやすく評判までも引き継ぐということになる可能性があります。
設備や機器が備えられているので初期費用を抑えられる反面、それらはいわば中古品です。
中古品は新品より故障のリスクもあるということを忘れてはいけません。
その設備についても電気の容量やガスの種類など条件が合致していない場合は追加工事などで大きな出費になりかねません。
費用を抑えられるというメリットがある反面、合致した条件の居抜き物件をみつけるには慎重に探し、精査する必要がありそうですね。
居抜き物件の探し方
居抜き物件を探すにあたって
居抜き物件は初期費用を抑えられることから人気が高く、かつ回転率が高いため物件探しは難しいです。
スケルトン物件の場合は立地や広さなどが合致していれば、有る程度は事業計画や好みに合わせてアレンジすることが可能です。
一方で居抜き物件は事業計画にぴったりの立地で、イメージに合う物件はそうそうみつかりません。
その通りの物件がなかなか見つからない時のために、希望する条件にある程度妥協できる許容範囲を決めておくといいでしょう。
インターネットで検索する
インターネット検索が無難で、多くの情報を見ることができます。検索だけでなく居抜き物件の専門サイトの情報はまめにチェックしておきましょう。店舗物件は地域や立地にもよりますが意外と回転率が高く、気になる物件を見つけたら、すぐに問い合わせて見に行くことをおすすめします。実際に物件を見に行かないと分からないことがたくさんあります。検索して現地に足を運ぶことで、参考になる情報が非常に多いはずです。
不動産屋に相談を行う
出店する地域が決まっている、または候補の地域がある場合、その地域の不動産屋に行ってみましょう。
そこではインターネットに出ていない、もしくは掲載前の物件の情報を見ることができます。
その地域の店舗物件の情報を見せてもらうことで、おのずとその地域の家賃相場も分かってきます。
不動産屋に希望する条件を伝え、合致する物件が入った時、または空く予定がわかった時に連絡を入れてもらえるようにしておきましょう。
不動産屋から希望する物件の情報が入るのは相談に行ってすぐかもしれませんが、数カ月、それ以上先の場合もあります。
しかし、希望の物件を見つけるためには大切な過程といえるでしょう。
不動産屋から連絡があった場合、少しでも気になった物件はひとまず内見を行いましょう。
自分で希望エリアを歩いて探す
インターネットや不動産屋で物件を探す方法が主となるでしょう。
しかし自身の交友関係等を頼りに探す方法や、自分の足で地域を周り、現地の人通りや他店の様子など情報収集しながら空き物件を探す方法もあります。
見つかる可能性は低いかもしれませんがインターネットや不動産屋で探している合間や、内見のついでに足を運び探す方法もあります。
物件選びのためのチェックリスト
物件を選ぶにあたって注意しなければならないことは多くあり、すべてを把握するためにもチェックリストを作成し活用してみるとよいでしょう。下記チェックリストを参考にしてみてください。
□ 事業計画を明確にする
何を売りにするのか、価格帯はどうするか、客層や集客数はどうするか、売り上げや回転数はどれ位を見込むのか、新規客中心なのか固定客中心なのか、等々をまず明確にしておかないと物件選びの基準を設けるのは難しいでしょう。
□ 事業計画に合った物件か
事業計画のなかで何を重視しているかにそって物件を選びましょう。地元客か観光客か、少人数か宴会メインか、落ち着いた雰囲気か明るく活気のある雰囲気かなどなど、立地や物件の雰囲気をか確認しながら探してみましょう。
□ ターゲット層に合った物件か
年代や性別、学生や社会人など客層を考えて物件を探すとよいでしょう。例えば高齢者を客層にみ見込んでいる場合は階段がある物件や坂がある立地は好ましくないかもしれません。また日中と夜間、平日と週末などの様々な時間帯などで人通りや雰囲気などを確認しましょう。
□ 開業資金に見合った物件か
そもそも開業資金で物件にあてる金額をオーバーしてしまわないように注意しましょう。希望する条件にあった物件でも見合った家賃ではなかったり、保証金が高額の場合があります。保証金は物件によって大きく異なりますので開業資金に大きく影響してきます。
□ 設備や機器のリストや詳細を入手しましょう
居抜き物件は前のオーナーさんが使われていた設備や機器、内装をそのまま使うことができます。しかしそれらが新しいお店に合致した内容なのか確認する必要があります。電気の容量やガスの種類、機器の対応年数や耐用年数、求める機能の有無など、追加購入や工事が必要になるとかえって高くつくことがありますで要注意です。
□ リースでないか確認しましょう
内装や設備、機器が前のお店がリースしていたものだった、ということがあります。その場合、リース会社が回収にくる場合があるので注意しましょう。もしものときのためにも契約書のリースに対する項目は注意して読んでおいてください。
□ 居抜き物件になってからどれくらいの期間がたっているのか
前のお店が撤退してからどれくらい期間がたっているかを確認してください。というのも冷蔵機器などは電気が供給されていない間に不具合を生じていることがあります。そうすると修理に費用が掛かってしまうのでできるだけ期間のあいていない物件を選ぶように注意してください。
□ 設備や機器が故障していないことを確認しましょう
空調機器や給排水設備についても不具合がないか、もしくは過去に修理したことなどが無かったなど確認しましょう。開業後に水漏れなどが発覚する場合や夏になってエアコンが効かないという事がなどが無いい用気を付けてください。
□ 居抜き物件は人気だということを理解する
人気ということはすぐに決まてしまい、流暢に考えている時間はないと思ってください。しかし、それがゆえに注意をおこたり、結果的に求めていた物件でなかったことも。スピード感をもち、かつ慎重に決めることが求められます。